2013年 5月版

前回からお知らせしているラオ・フレンズ小児病院(LFHC)の出来事ですが、建物はなくともプロジェクトの目標達成のためには事前に把握しなければいけないことがたくさんあります。5月には3回ラオスを訪れ、他団体の基礎調査に参加し、村にあるヘルスセンターの状況を見てきました。






雨期になり観光シーズンでなくなったせいか、機内は比較的……と言いますか、“全自由席”でした(写真上)。1度は乗客5名で、いくらプロペラ機といえども「もったいない~!」とつぶやいてしまいました。 ラオスの山の景色はなぜかいつ見てもほっとしますが、上空から見るとポツリ、ポツリと離れた場所に集落が見え、「あの辺に住む人は医療にかかれるのかな……」と気になるようになりました。








3回の訪問のうち2回は、他団体の活動事前調査に同行させてもらいました。管轄する2つの郡の15軒のヘルスセンターを、舗装されていない山道(写真上)をひたすら走り巡回です。私は7軒のヘルスセンターを回りました。調査は準備された質問用紙に沿って聞き取りの形式で進めていきましたが(写真中央) 1軒に対してたっぷりと1.2時間はかかり、それは大変な作業でした。

調査は、本来備わっているはずの施設や技術、対応がどの程度患者さんへ提供されているのかということを知るための内容でしたが、私たちがやるべきことが山積していると実感です。そんな調査の途中で、山奥にあるヘルスセンターにソーラーシステムが設置されているところ(写真下)を見つけました。環境にも人にも優しい医療を目指しているように感じて嬉しくなりました。




ラオスの医療施設での改善はマネージメント、技術、知識、設備など多分野に渡ることがわかってきましたが、特に目に付いたのは、医療廃棄物の処理、院内感染予防についての対応です。使用した針の処理が使用済みのプラスチック点滴ボトルの中に捨てられていて、その針が突き出てしまっていては、医療従事者が使用済み針に残っていた血液から感染症にかかる可能性もあります(写真上)。

また、医療廃棄物処理のための規定に合った箱が配布され使用されているにもかかわらず、その箱が満杯になった時に処理するシステムがないので、結局、お部屋の隅に……箒と一緒に置かれていたりしています(写真上)。
やたらには捨てられないし……と苦肉の策ですね。



四駆トラックのお尻がフリフリしてしまうほどのすごい道。ガードレールもない断崖絶壁を横に見ながら、ヒヤヒヤ~。運転手さんの腕前に感謝でした。



医療機器、薬はどこ??


中には、医療を提供するはずの施設がどう見ても一般家庭の住環境になってしまっているところもありました(写真上 下)。患者さんが寝るはずのベッドには洗われた食器や調味料が置かれています。1日に来る患者さんの数は1.2人。働く看護師は2名ですが、1人はボランティアで、ほんのわずかなお手当をもらうのみです。2名とも緊急の患者さんが来た時に対応する研修を受けていません。「重症な患者さんが来たらどうするの?」と聞くと「町へ転送する」と言いますが、このヘルスセンターにたどり着くには四駆の車でもそれはそれは大変でした(写真上)。

こうした行動は単なる医療従事者の怠惰から行われているのではないということも少しずつ分かってきました。適切に情報が伝わっていなかったり、システム自体が系統立てて確立されていなかったり、やりたくてもできない状況が背景にあるなと感じました。




今回のラオス巡回で、ある18歳の女性に出会いました。14歳の時に結婚し、子どもができず、そしてこれから先も子どもはできないと信じている(……と彼女は言いました)ので、遠くの村から5か月になる男の子をもらってきたのだそうです。

哺乳瓶を持ちミルクを与えていますが、やはり気になるのは「何をあげているんだろう?」ということ。粉ミルクはここでも高価なはず。人里離れたこの村で簡単に購入できるとは思えませんものね。……で、確認すると、やはりコンデンスミルクを水で薄めたものでした。カンボジアでもよく見かけます。粉ミルクよりはかなり安価に購入できるので、「色も同じだし、ミルクだし」というのが理由のようです。ただ、コンデンスミルクでは成長に欠かせないたんぱく質が絶対的に不足しているのです。ですから“クワシオコル”という蛋白欠乏の栄養失調になるのは目に見えています。

そして、お母さんの左手にはラオスでは主食である蒸したもち米が握られ、ミルクに飽きた赤ちゃんに食べさせようとしていました。……が、まだ歯も生えていないので、あの弾力のあるもち米を咀嚼することはもちろんできませんし、実際吐き出していました。お母さんはその吐き出されたものをまた口へ押し込む……。「う~ん、ダメなんだけどなぁ」と、ちょっとだけ栄養のお話をしてみました。コンデンスミルクではタンパク質が足りないことや、離乳の時期や離乳食について話しても話しても、お母さんの食いつきがない。聞いてはいるけど、興味なしという反応でした。

行動変容はどこの国でも簡単ではないけれど、文化や民族が違う彼らにアプローチすることがこれからの大きなチャレンジとなりそうです。





まるで仙人でも出てくるような朝もやの風景が見られるところに位置するヘルスセンターに勤務するやる気満々の若いスタッフ!



色々と着手しなければいけないことが見えてきましたが、その大きな力になってくれるような人材にも出会いました! 巡回中に1泊したヘルスセンターは、雲を見おろす山の頂上にありました。電気もお湯もないですが、自然がいっぱいです。「仕事なかったらこんなところに住みた~い!」と言い、「どうぞどうぞ!」と言ってもらいましたよ。

そこのスタッフは3名でチーフはまだ27歳(写真右から4人目)。彼は、学んだことを実践し自分のものにすることに喜びを感じ、その経験をとてもエネルギッシュに語ってくれました。 こうした人材のモチベーションをいかに維持するような活動をするかということも、今後のチャレンジですね。彼らのような力がなければ達成できないことだと思います。








さて、今回のラオスミニ情報は“食”です。いろんなものをどれも美味しくいただきました! まず上は熟していないマンゴー。これはカンボジアでも同様にして食べますが、熟したあの甘さを想像することができないほど酸っぱい~!女の子の表情を見てもわかりますよね。でも、癖になる酸っぱさです。私も一緒に顔をシワシワにしていただきました。

次は「村の食事は食べにくいものがあるから」と言って調査に同行した保健局のスタッフが準備してくれた揚げセミさん(ヒグラシかも……)。虫類色々と食べてきましたが、セミさんは私も初体験。小さなお目目がキョロっとしていましたので、「ごめんなさい。いただきます。」と告げていただきました。美味しかったです。ご飯と合う!ちなみにこの保健局のスタッフさん(多分50代半ば)、村泊の準備が半端なくすごかったです。シーツ、枕カバー、タオル大小、朝のコーヒーまで。「シティーガールね~」と冷やかしました。ふふ。

山の頂上でいただいたのが筍とアヒルのスープでした。細い筍をひとつずつ剥いて手間のかかる準備をしてくださいました(写真上)。筍は大好物!美味しかったです……が、ラオスの皆さん、こういった山菜を食べることが多く、ビタミンが欠乏してしまうことがあるようです。 今回もラオスで食べ過ぎました。



毎回いろんな発見がありますね。まだまだラオス初心者ですが、これからも五感のアンテナを磨いて更なる発見をしていきたいと思います。こうした発見が今後の私たちの活動の糧になるのだと思います。


  フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPAN 副代表
  ラオ・フレンズ小児病院 看護師               赤尾 和美


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