2013年 8月版

FWAB JAPAN が、ラオスのLFHC(ラオ・フレンズ小児病院)プロジェクトに加えて、ミャンマーでの小規模支援を開始しました。ミャンマー支援は、FWAB JAPANが一(イチ)から活動を開始するのではなく、既に国内で活動をしていたローカルNPO(GOLD Myanmar)が行っているモバイルクリニックへの小規模な支援です。

GOLD Myanmarは、2012年4月以降、別の団体からの支援で活動を行っていたのですが、その支援が途絶えてしまい継続が難しい状況に直面していました。私たちは数回に渡り実際の活動を視察し、村人との良い関係、スタッフと村人のモチベーションの高さに大変感心しました。このまま活動が停止されてしまうのはあまりにももったいない!そこで、小児医療に焦点を当て、その実情を把握するパイロットプロジェクトに再構成して、活動を再開することとなりました。そして、7月13日、14日、記念すべきFWAB JAPAN支援最初のモバイルクリニックが開催されました! (注:モバイルクリニック=移動クリニック)


2月(乾季)の船着き場



7月の船着き場


ミャンマーは現在、雨季です。モバイルクリニックを開催する村(ヤンゴン南東部 チャウタン タウンシップの6村)にはシェモーウン川を渡って行くのですが、水位が随分と上がっていました。写真2枚で乾季との比較をしてみました。橋桁を見ていただくと分かりやすいかと思います。

時には更に水位が上昇し、村へ流れ込むこともあるそうです。対岸まではほんの数分の距離なのですが、この川一つで世界が全く違ってしまいます。インフラ整備も遅れていますし、物価も高くなってしまいます。病院へかかりたいと思うと、この川を渡らねばならず、交通費も余計にかかってしまうのですね。
川一本が人々の生活に大きく影響していることを実感。






丘の上もすっかり乾季とは様相が変わっています。2日目の村へはグニャグニャな道をオートバイで、歩くのと同じくらいの速度で走り(写真上)やっとたどり着いたかと思ったら、準備されていた長靴に履き替えて30〜40分、テクテクと小さな橋を渡ったりしながら、沼のようになった道を歩きました(写真上)。 緑が眩しいほどでしたので、歩いていても気持ちが良かったです。

本当はもっとすごい道があったのですが、そんな道を通っているときには、とても写真を撮る余裕はありませんでした。クリニックまで30分も1時間も歩いてきたという患者さんがたくさんいたのには、こういう理由があったのですね。







たどり着くまで、それはもう大変でしたが、こんなにたくさんの村人さんたち(写真上)が待っていてくれたり、来られない人たちのために、大きな大きなスピーカー(写真上)で、健康教育が村中に伝わるようにと準備してくれていたので、疲れも吹っ飛んでしまいました
医療スタッフ全員がドロドロで汗だくでしたが、急いで診療に取りかかりました。
村人さんたちからの意欲が私たちの活動の力になってくれているなと実感です。双方が一体化して何かを成し遂げると達成感もひとしおです!









村人さんたちのご協力は、クッキング デモンストレーションでも大活躍でした。栄養指導の後に、お肉やお豆の入ったお粥やミルク粥を大きなお鍋で作り、集まった人たちに試食をしてもらったのです。グツグツと煮えている音といい香りで、お味も最高!
魔女が鍋をかき回しているように、ぐるーり、ぐるーりと汗をかきながら作ってくれました。 試食も大好評で、「おかわり~!!」と次々と空になったお皿が給仕している人の前に差し出されました(写真上)。

こうして、少しでも栄養に意識を向けてもらうことが行動変容の最初の一歩になるのです。状況を一気に改善することはとても無理ですが、こうした地道なアプローチが、決して無駄にはなっていないと確信しています。
もちろん、中には「これでは埒が明かない」と思われる方がたくさんいるのも理解いたします。でも、知るチャンスの無かったこと知る、感じることができたらそれでひとつ前進なのだと思うのです。



健康教育デビューの地元スタッフ



日本からのボランティア医師によるレクチャーの様子



カンボジアからのボランティア医師によるベッドサイド指導の様子


村の人々が手の届かない医療を身近に感じてもらうこと、疾病の予防への意識を高めること、そのきっかけを提供していくことがこの活動の趣旨ですが、もうひとつの目的は、地元のスタッフを教育し、提供する医療レベルの向上を目指すことです。小児の専門医師がとても少なく、国内でも小児医療の手ほどきを受けるチャンスはなかなかありません。もちろん、知識は持っているのですが、それが十分に発揮されず、見逃されてしまっている疾患予備軍や、放置されている疾患もあります。痛みのある子どもの痛みを取ることには目が向いても、痛みや苦痛を訴えていない子どもは健康と判断されてしまっている例が多く見受けられました。特に成長や発達に関しては、全くと言ってよいほど目が向けられていなかったようです。これらは今後の医療指導の課題となっていくでしょう。

栄養教育に関しては「専門家を呼んでレクチャーをしてもらう」と現地スタッフは言っていたのですが、どこかの大先生が来るよりは、既に人間関係が構築されている現地スタッフが自らすることの方が教育の効果はずっと高いはずです。ということで、教材や指導の仕方を伝授し、早速、教育デビュー!(写真上)

「できるかな……」緊張気味でしたが、終わった後には「Good!!」と気持ちよさそうでした。 2名(日本人1名、カンボジア人1名)のボランティア医師も参加して指導に当たってくれました。今回は成長と発達に焦点を当て、レクチャー(写真上)と実際に患者さんを診察しながら、小児診療の実際、記録の仕方、処方の仕方などを指導しました(写真上)。指導を受ける前は、「どんなことがわからない?」と聞くと「特に問題はないのですが……」と言っていた現地医療スタッフ。ところが指導を受けてみると、色々と気付かされたことがあったようです。
カンボジアから参加した医師は「自分たちの若い頃を見ているようだ。“できる”と思い込んでいるんだ。そして、機械のように診察と処方を繰り返してしまう。大事なところを見逃してしまうことに気が付かないんだ。」と言っていました。まさに、その通りだなと思います。実際に自分が経験したことがあるので、そのカンボジア人医師の言葉は重みがありますね。

現地のスタッフのやる気も満々でした。新しいことに気が付き「パッ!」と目が覚めたような表情をしていました。いいですね!
今後も医療ボランティアのご協力を得ながら、このモバイルクリニックをより良いものにしていきたいです。




村では、一度は休止となったこのモバイルクリニックの再開をとても喜んでいました。支援団体は変わったけれど、継続することができることをこうしてバナーに印してくれていました。
こうした一つ一つのことが、村と地元スタッフの団結力を感じさせてくれます。誰かに言われてやっているというのではない、全ての人が参加して成功を目指している様子がよく伝わってきます。

最初のモバイルクリニックは、開けてびっくり「あれがない~!」「順番が違う!」「なんでこうなってんの?」という中でバタバタでしたが、まずまずの成果があったと思います。短い期間のプロジェクトを次へのステップとするためには、このチャンスを有効に使わなければなりません。2回目も気を抜かずにエイエイオー!




毎回かわいい子供たちに出会います。そして、お友だちになります。それから、いっぱい元気をもらいます。
感謝です。


今回はミャンマーの話題一色でしたが、次回はラオスが盛りだくさんになりそうです。この数か月はかなり刺激的です。少しでもこのドキドキをみなさんへお伝えできるようにしたいと思っております。ご意見などございましたら、どしどしお寄せくださいませ。


 フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPAN 副代表   赤尾 和美


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