2013年 9月 & 10月版

現地雇用最初のスタッフ決定のために、ビエンチャン、ルアンパバーンとカンボジアを行ったり来たりのこの数か月でした。HIV クリニックで新たな現状も見えてきました。そして、久しぶりにアンコール小児病院スタッフのお手伝いもさせていただき、情報満載の2か月をお届けいたします。



しっとりと秋っぽい夕日を浴びる土手 in ルアンパバーン



歩道?車道? in ビエンチャン


採用面接のために今回はラオス首都のビエンチャンとルアンパバーンを行ったり来たりでした。やはり首都のビエンチャンは都会ですね。歩道にまで車がいっぱいでした。それとは対照的に、ルアンパバーンでは、ほんのりオレンジの夕日を浴びた土手がのんびりとした雰囲気をかもしていました。




将来、現地スタッフの中心となってくれそうな人材を10名から15名採用する予定の最初の雇用募集には、たくさんの応募がありました。とても嬉しいことなのですが、まだ建物がないLFHC では、面接、試験の場所を確保するところから四苦八苦。面接は個室を持っているカフェで行ったり、病院裏のメンテナンスオフィスを拝借したりで、その度に民族大移動です。幸い、ルアンパバーンでは、カレッジのコンピュータ室(写真上)をお借りすることができ、コンピュータを使って会計や事務 のスキルテストも実施することができました。いやいや、大変でした。

生き生きとした表情で面接に来た応募者一人一人のお写真をこの紙面に掲載してご紹介したいくらいですが、採用の契約がきちんと終わってからのお楽しみとさせていただきますね。うずうずします~。来年半ばには2期生となる雇用が開院に向けて行われる予定ですが、今回の経験を糧に、少しはスムーズに行くようにしたいですね。いよいよスタッフも雇用され、仲間が増えます!



やつれていた1週間前



ふっくらとして、笑顔!


1週間前に会ったA さんに、今回も会うことができました。1週間前にお会いした時、2週間前にHIV陽性の結果を聞いたばかりで、まだ茫然とした感じでした。身体的にも皮膚感染症、視力低下、下痢、発熱とたくさんの症状が出現していましたが、今回は体重も増え、ふっくらとした様子です。心地の悪い症状がなくなったとニッコリ笑顔も見せてくれて、ほっとしました!

A さんは、2年前に離婚し、5歳のお子さんがいるそうですが、別の村に住んでいて、まだ検査をしていないそうです。A さん自身は、2か月以上の下痢や発熱があり、親戚からHIV の検査を勧められてはいたのですが受けずにいたところ、体調が著しく悪化。郡の病院から救急車で県立病院へ搬送されて来たそうです。ここでも勧められたのがHIV 検査でした。HIV のこと自体ほとんど分からず、検査の時の説明でも「まさか自分が」という状況だったと予測します。結果は陽性。陽性結果の事実と今後のことを認識するにしたがって、恐怖や絶望という感情がA さんを襲ってきたようです。現在も全ての家族へ告知しているのではないそうです。特に義理の兄弟からは経済的に支援をしてもらっているために、この事実を知らせて支援が止まってしまうのではと、心配していました。

たった2週間ですが、経過を見ることができてよかったです。A さんが少しずつ事実を受け入れて対応している様子が見えてきたことは、とても良い傾向ですね。このままうまく乗り越えてくれるといいのですけど。そして何より、一緒にずっと病院で過ごしているお母さんの表情がとても柔らかくなっていたことにホッとしました。このまま症状をコントロールできるようにしたいですね。




別のHIV 感染の患者さんも、「今日入院したんです」と、お話をしてくれました。21歳のK ちゃん(写真左ピンクシャツ)です。1週間前に郡病院から県立病院へ紹介され、入院することになりました。地元の郡病院ではHIV 感染症を診療することができないので、通常は県立病院へ紹介されます。県立病院へ来るのには70ドルもの交通費がかかるそうです。雇われ農夫の家族の1日の収入は4〜5ドルですから、大きな負担ですね。心配するお母さんと伯母さんが一緒に付き添っていましたが、病院へ来るためにたくさんの借金をしてきたと言っていました。

K ちゃんは下痢や嘔吐が1か月以上も続き、タイの病院で検査を受け陽性結果を受け取っていたそうですが、県立病院へ来る費用がなく、結果を受け取ってから今回県立病院へ来るのに7か月ほどの時間が過ぎてしまったのだそうです。お話し中にK ちゃんの目から涙がポロリと流れました。色々な感情がこの涙に含まれているな……と、ただ、無言でその場にいることしかできませんでした。K ちゃんの経過も見届けることができたらいいのですけどね。



新たな感染者


新たな陽性判明者が入院してきます。多くの人が、体調をかなり崩したことが検査を行うことのきっかけになっているようです。また、検査を自ら思い立ったという人よりも、周囲から勧められてという人が多いように感じます。「まさか自分が」と思っているのはラオスの人々に限らず、どこの国でも同じことですが、それ以前にHIV の知識自体がまだ十分に定着していないようです。そのためか、病状が進行した人が多い。文化的にオープンになりにくいということもあるのかも知れません。

しかし、オープンにならないと支援を受けにくかったり、検査への足が遠のいてしまったりということが問題になります。陽性と分かっても、身近な郡病院では診療が受けられない。また、受けられたとしても、知られたくないという気持ちが診療をも遠ざけてしまうことがあるかもしれないですね。まだ見えていない部分がたくさんありそうな感じがしてきました。



頑張るウーマンパワー!左からメディカルアシスタント2名とボランティアさん


HIV クリニックでは、医師、看護師、ボランティアさんが、毎日来る患者さんの対応に追われています。日々増えている新しい感染症者に段々と手が足りなくなってきていると話していました。だったら検査の数字はうなぎ上りに……と思ったら、減っている。なぜ?答えは、「検査キットがなくて検査をしたくてもできない」のだそうです。そしてさらに、陽性と判明した人たちに行う身体の抵抗力を判断するための検査も、試薬の不足により実施されていない状況だとわかりました。

また、小児の患者さんでは、家族の認識、モチベーションを高めるのがとても大変なのだそうです。これはどこも同じですね。日々の生活に追われていて、いつも同じ人が病院へ付き添いに来るということすらとても難しいのです。それができるような環境、状況を作るにはどうするかを追求しなければならないけど、簡単じゃないんです。色んな山があるんです。その山が少しでも低くなるように、このHIV チームと一緒に頑張ります!



ルアンパバーンでの姉御バナリーさん


病院はまだ建っていなくても仕事はあります。これまでは宿泊しているゲストハウスにこもって事務仕事をしていましたが、仕事の環境としてはあまり良くないですね。そのことをルアンパバーン保健局内で私たちと保健局とのパイプ役を担い、LFHC プロジェクトを支えてくれているバナリー医師に話したところ、彼女のオフィスの隣にあるミーティングルームを、私たちのオフィスに提供してくれました。

なかなか広くてミーティングにも最適!一応、Wi-Fi もつながります。オフィス使用初日には、まず、日本茶で「お・も・て・な・し」いたしました!思いのほか日本茶の美味しさに感動してくれ、毎日お茶タイムができたほど。そんなに喜んでくれると私も嬉しい。今ではすっかり日本茶党になり、ランチの後には必ず「お茶飲みます~?」って聞いてきます。お茶を飲みながら、しばしの“ガールズトーク”です(はい、はい。おばばトークですけど!)。こうして、地元の人たちと表面的でないお付き合いができるようになると、お仕事もとてもしやすいですね。そして、楽しい。

チームでひとつのプロジェクトを作り上げる。そのためには、業務さえこなせばということではない相互理解によるつながり、結束が重要ですね。目標にメンバーみんなが自然に同じ方向を向いていられるような関係。大事です。


参加者はスタート地点で準備体操



沿道で応援してくれたBoys and Girls!


ルアンパバーンで第1回チャリティーハーフマラソンが行われました。丁度、私も現地にいたので、7キロコースに飛び入り参加してしまいました!各国からの参加者は400~500名でしたが、ローカルの参加者がとても多く、また沿道では、子どもたちや地元の店舗からの応援があり、“地元密着感”がたっぷりのほのぼのマラソンイベントでした。いい感じです。

今回は子どもの支援をする国際NPOのためのチャリティーでした。来年はラオ・フレンズ小児病院にもスタッフがいるので、みんなで参加ですね!ん?来年あるのかな?



宿泊していたアパートの1室に集合し、発表の手直し中



最新機器が設置されているリハビリ室の見学中


このページは、ラオスからカンボジアへ話題が変わります。久々にアンコール小児病院のスタッフのお手伝いでした。看護部長のソパル看護師、放射線科のセンハップ医師、救急科のコサル医師が長年ご支援いただいている社会医療法人財団池友会 福岡和白病院へ研修に来ていました。慣れない環境、言語の中での研修は、受け入れしてくださる医療機関もとても大変です。少しでも研修がスムーズに進むように、ちょっとだけお手伝いしました。

研修では、最新の器材、診療について説明していただき、また院内各部署の連携やシステム形成を学び、国や病院の規模が違っても参考になることをたくさん吸収しました。また、自分たちが学ぶばかりではなく、日本ではあまり見られないような症例の発表をして還元することも試みました。


“忍者村”へ観光!すっかり忍者?


時には息抜きに観光もさせていただき、かなり充実した2週間だったようです。社会医療法人財団池友会 各病院の皆さま、3名の訪問を快く受け入れてくださり、ありがとうございました!!


何か不自然な・・・感じ?



誰だ~~??ふふふ。


さて、最後はラオスミニ情報です。今回は、“街で見つけた気になるもの”です。上の写真はゴミ収集車。思いっきり日本語が!見にくいですが、車の後ろには赤字で“キケンです。ゴミは係員に”って。係員いないじゃないの~って感じなのですが、ま、いいか。

そして、その下の写真は、朝ウォークで何やら視線を感じる先をたどっていくと、こんなかわいい観察者(犬)。思わず、「あらら~、そんなところで何しているの~?」と話しかけてしまうくらい、じーっと見てくれていましたよ。気になる~!

今回も色々とありました。あっちこっちと大移動でしたが、大きな収穫とたくさんの出会いにはいつも感謝です。この原稿を書いている今日、またラオス入りしました。今月末に控えた覚書調印式や鍬入れで、ラオスのプロジェクトも大きな進展がありそうです。次回こそは現地スタッフ第一陣と式典の話題をお伝えしたいと思います。


  フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPAN 副代表
  ラオ・フレンズ小児病院 看護師               赤尾 和美


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