2015年 7月 & 8月

今年は日々新たなことが起こることが予想されていたので心して臨んだのですが、予想通りと申しましょうか、目まぐるしくアッという間に8か月が過ぎました。ラオ・フレンズ小児病院(LFHC)の院内では入院病棟がオープンし、アウトリーチでも新たな一歩。これらの話題を中心にお知らせします。

8月11日に入院病棟がオープンしました。数か月前から着々と進めていた準備が整い、晴れてのオープンですが、ドキドキです。当日初めての入院患者さん1名が受け入れられ、これまでの学習と練習の集大成です。全てが初めての経験で戸惑うことも多々ありますが、少しずつですね。現地スタッフも新しい経験を楽しみながら修得している様子です。まだ病床がいっぱいになることがないので、今のうちにじっくりと慣れてもらいたいですね。

アンコール小児病院の15年前を思い出します。う~ん、懐かしい。…と10年後には今日の日を顧みて言っているのでしょうね。



ひとつずつ指導を受けながら入院の受け入れ手続きです



夜勤では、ちょっと余裕の表情を見せていますが…(笑)


入院病棟のオープンと共に開始したのが、ipadを使ったEMRシステム(Electric Medical Record 電子カルテ)です。これも新たな経験です。ひとつクリックするごとに、「あ!…」という声があちらこちらから(笑) IT世代の若いローカルスタッフは慣れるのも早いかもしれませんが、今は四苦八苦。各項目の英語をまずは覚えなくてはならず、ひとつずつ手書きで写して、辞書で調べているスタッフもいました。

まだ病院の活動すべてをこのEMRで把握することはできないのですが、いずれは、全てのデータが揃うようになる予定です。



「えっと…、どこだ??」



「難しい~」と練習中


開院して半年にもなると、段々と専門性を帯びた診療とケアに対応することが必要になってきました。HIV感染症もそのひとつです。HIV感染症の場合、診療以前に検査の態勢から整えなければなりません。感染症が判明した時の心的準備も含め、検査の前後にカウンセリングを提供することが義務付けられています。そのカウンセリングを提供するスタッフは、専門の知識を身に付けるトレーニングを受ける必要があり、この度、4名のラオス人スタッフをカウンセラーとして養成しました。すでにHIV感染症の患者さんが来院していることもあり早急に対応しなければならず、また他の教育プログラムとの兼ね合いもあり、3日間のショート・トレーニングコースを行い、最低限の知識とスキルを身に付けてもらいました。

目に見えない心の中のことを学ぶには、言葉の壁は大きいのですが、参加した4名のスタッフ(医師1名、看護師3名)は、興味津々、やる気満々で3日間のハードな時間を乗り切ってくれました。そして、ピカピカのカウンセラー誕生です。これからの活躍に期待したいですね。




グループワーク(写真上)やディスカッション(写真下)も盛り込んで
体感・実感するトレーニング


アウトリーチプログラムに“足”が来た!!オートバイと車。ホントに長いこと待ちました。アウトリーチは院外での活動がメインです。足がなくては、どうにもならない。でも、活動しないわけにいかないので、レンタカーを使ったり歩いたりしながら、細々と患者さん宅へ訪問していました。でも、もう大丈夫!オートバイでは小回りが利く訪問を。トラックでは大荷物を持参して山道へ。臨機応変に対応できます。どちらも日本のサポーターからの寄贈でいただきました。ありがとうございます!皆さんのご支援で、たくさんの子どもたちの元へ医療を届けることが可能になりました!今後のご報告に乞うご期待!



やっほ~!新品バイクにまたがり早速ひとっ走り



7か月待った車が来た!



「わ~、CDも付いてる~」と子どものようになってしまいました


アウトリーチでは、コミュニティーを対象にした予防教育のための活動が始動しました。“ヘルスプロモーションデー”とネーミングし、村での健康に対する意識を高め、健康を害する行動を変容し、維持することを目的としたヘルスイベントです。今回初めて試験的に開催してみました。

2月から、保健局や公衆衛生課との話し合い、村と管轄郡病院との話し合いを重ね、実現に至ったものです。最初は対象をひとつの村にして、その村をモデル村に仕上げることが第1段階の目標です。どこの村にするかは、各村の村長さんや女性連合代表、コミュニティーリーダー、郡病院の代表から聞き取り調査をして検討し、N村を第1号モデル村と決定しました。皆やる気満々です。「ほかの村へはいろんなプロジェクトが来ていると聞いていたけど、この村は素通り。健康の向上をしたいけど、どうすればいいのか分からず、ぜひ協力してほしい」と青年会の代表が語ってくれたことが大きな決め手でした。

ラオ・フレンズ小児病院(LFHC)が主導権を取るのではなく、村人・郡病院スタッフが掲げた目標を達成するために、アドバイス、手法の提供をする役割が私たち。あくまでも村人主導の活動で進行します。N村がモデル村になれば、周辺の村からも代表者を招聘し、次のモデル村の立候補を募る予定です。

最初の“ヘルスプロモーションデー”では、①子どもの予防注射②身体測定と成長の指標記録③妊産婦検診④健康教育(栄養・母乳の効用・発達段階)⑤クッキングデモンストレーション(離乳食)を行いました。最初のことですから前日から予行演習をしていたとはいえ、「あれがない!」「○○どこ行った~?」と大騒ぎ(笑)。それでも、48名の子どもたちが無事に身体測定も終え、最後はみんなで記念写真!今後は改善継続してヘルスプロモーションを開催し、村の公共資金を集めるために、オーガニック野菜ガーデンを作ることも計画中です。



©Adri Berger
赤ちゃんはよく動く!4人で身長測定!



初めて聞く栄養のお話しを真剣に聞く子どもたち


受付で番号をもらいます



身長計がなくとも、壁がある!(笑)



アチアチ!…美味しい!



©Adri Berger
ハイポーズ!!みんな笑顔!


病院建築の時にその建築費をご支援いただく『アダプト・ア・ルーム』というプロジェクトがありました。各お部屋の建築費+必要物品一部のご支援をしていただくものでしたが、医薬品倉庫の一部をご支援いただいた“森を再生させる会”の皆さんが、LFHCへお越しくださいました(写真下)。スタッフ一同、とても感謝しております。

実際に完成し、使用している状況を見ていただけることはLFHC スタッフみんなの希望ですが、現実的にはなかなかご都合がつかず、見ていただくことが困難です。サポーターと病院スタッフが直接顔を合わせ、ご支援が有効に使われていることを実感していただき、スタッフとの交流もあることが双方のつながりを強くするのではないかと思います。ありがとうございます。そして、他のサポーターの方々も是非LFHCへ一度お越しください!



森を再生させる会のみなさんから一部ご支援いただいたお部屋の前で!


こちらは日本からの検査科へのご支援です。自治医科大学の松岡医師(医学部 感染・免疫学講座 医動物学部門 教授)が顕微鏡を3台寄贈してくださいました。それに伴い、この度、松岡医師と医学部生さん2名が顕微鏡を使った教育をボランティアとして提供してくださいました。

ボランティアは3日間で、検査科スタッフと医師を対象に寄生虫の生態をレクチャーし、その後実際に顕微鏡を使用しマラリアや回虫・蟯虫の虫卵などを観察しました。また実際の検体を染色し細菌の観察も実施。即実践に使えるものばかりでスタッフも大満足でした。研修後はみんなで記念撮影です。松岡医師には継続的にスキルアップのための研修をしていただけたらいいなと勝手に考え、お願いしておきました!よろしくお願いいたします!(笑)



研修後に松岡医師(後列白シャツ)を囲んで、検査科スタッフと医師


これまでビジターセンターを見つけることができなかったという声を時々いただき、改善せねばとアイディアを出し合い、このようになりました。(写真下)入り口が少し奥まっているので分かりにくいだろうということで、地面に大きくロゴを書きました。どうでしょう?これで少しは分かりやすいでしょうか?

病院も郊外にあるため分かりにくいので、数か所ポイントとなる場所に病院への道標を立てました(写真下)。これでみなさん迷わずお越しいただけるとよいのですが・・・。



街の中にあるフレンズ・ビジターセンター(FVC)の入り口



病院への道標


注: ラオ・フレンズ小児病院は、子どもたちへの感染、ご訪問者が感染を持ち帰ってしまう危険を考慮に入れ、基本的には病院への見学をお受入れしておりません。そのために、街の中にFVCを設置し、ご興味を持ってくださった皆様の対応をしております。
詳細はフレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPAN事務局 03-6421-7903までお問い合わせください。


入院病棟オープンまでまだ日にちがある…と思っていたら、もう8月も終わりです。ついこの間まで、「開院がもうじきです」と言っていたのに。次々に新しいことが始まり、前進あるのみを実感する日々です。10年後にはラオス政府へ引き渡すこのプロジェクトですが、アッという間に過ぎそうです。 1日1日を大事に過ごしたいと思います。


  フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPAN 副代表
  ラオ・フレンズ小児病院 看護師               赤尾 和美


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