2015年 9月 & 10月

ラオ・フレンズ小児病院(LFHC)の入院病棟がオープンして2か月が経ちました。次にオープンを控えているのは救急外来です。それらの進捗に併せてラオス人スタッフの来日、各国からのボランティアさんの活躍、チャリティーマラソンの話題を中心にお知らせいたします。

入院病棟がオープンして2か月が過ぎました(写真下)。活動の幅を広げることで提供する医療の質が下がらないように、ベッド数は6床を基本に上限10床までに抑えて受け入れをすることにしましたが、常に7床は埋まっている状態です。がらんとして冷たさすら感じた病棟も、今ではすっかり様子を変えて、活気を感じます。ラオス人スタッフへの教育を行いながらの診療・ケアをしなければなりませんが、命が最優先の現場では、そのバランスが難しいところです。

そして、11月下旬にオープンを目指しているのが、救急外来です(写真下)。さらに緊急性が高い現場での教育と診療は、新たなチャレンジになりそうです。



日々活気を増している入院病棟(IPD)



ひっそりと出番を待っている選手のようです


外来、入院病棟がオープンし、次に控えるは救急病棟や手術室です。院内での活動が広がるにつれ、診療活動を強化・補佐する活動が必要になってきます。そのひとつが院内感染予防です。院内感染予防は、日本でもここ何年か注目を浴びています。病気を治しに病院へ来ているにも関わらず、新たな病気にかかってしまうことがあってはならないのです。ここでの感染症が命を脅かすことにもなりかねません。

その専門家としてラオ・フレンズ小児病院(LFHC)へボランティアとして来てくださっているのが、デビーラム・リーさん。IPAC-Canada (Infecion Prevention and Contorol – Canada)という院内感染予防の専門エージェントからの派遣です。LFHCには院内感染予防担当スタッフのチャンペンがおり、デビーさんが一緒に使用する消毒剤、消毒方法、清掃方法などの院内規定をチャンペンと一緒にレビューして、確実に院内感染を予防できるように整備を進めてくれています。ハウスキーパーさんは、このプロジェクトではキーパーソンとなります。命に関わるお仕事の責任をングッと感じてくれているようです。これこそチームワークの力がなせる業です!



チャンペン(左)とハウスキーパーチーム(紫ユニフォーム)とデビーさん(右端)


アウトリーチ(院外)の活動も順調に進んでいます。そして、日々、社会の器から漏れてしまってきた人々に会うことが多くなってきました。ルアンパバーンからボートで5時間の場所に住むW ファミリーは7人の子どものうち6人が栄養失調と貧血。確かに貧困な地域ではありますが、16歳の男の子の身長が122センチ、体重20キロというのは、異常です。他団体、村のヘルスセンターと連携を図り、5名の子どもたちとご両親を病院へ連れて来ることを計画しました。2名は即入院で輸血。数日の入院で退院することになりましたが、院内でのお母さんの表情がちょっと気にかかりました。村から出たことがないので緊張しているのか、もしくは鬱状態なのか???

貧血の状態をチェックすることと、この家族の村での生活状況、お母さんの様子を確認する必要がありそうでした。そこで、退院から1か月後に訪問を企画しました。貧血の状況は、2名は早急に病院での治療が必要。これも連携で来週にも病院へ連れてくる予定です。あと4名は貧血ではあるけど、まだ様子を見ても大丈夫そうです。発育は極端に小さい!遺伝疾患でアフリカや東南アジアに多く見られるサラセミアか他の血液疾患か??が疑われます。貧血だけではなく、この家庭が継続的に十分な栄養を摂り、成長を促せるようにする長期的な計画が必要です。今後も他団体との連携を強化してアイディアを絞り出します!



5人の子どもたちの家



勢ぞろい!みんな同じ背丈で似た顔で混乱!!



帰路のボートで夕日を眺めながら考えを巡らせました


特定の患者さんの家を訪問する訪問看護ですが、訪問した村にはほとんどと言っていいほど、他に医療のニーズがありながら届いていない子どもたちがいます。右の写真も別の村ですが、訪問看護の患者さんを訪ねた時に発見したケースです。一人は火傷でそのまま治療を受けずに固まってしまった女の子(写真下)。数日後LFHC の外来を受診し、形成外科チームが来た時に診てもらうようリストに登録し、拘縮が進行しないように、リハビリ・マッサージを指導しました。



もう一人は、ある村で患者さんの家に遊びに来ていた男の子の顔色が悪いので診察したところ、慢性の心臓疾患独特の指の変形があり、先天性の心疾患が疑われたケース。LFHC の外来を受診し、ファロー四徴症という重篤な心疾患が見つかりました。実際に外へ出ることの重要性を実感する毎日です。

LFHCのラオス人スタッフが、院内から院外へとお勉強の場を広げています。最初のご紹介はケオ看護師の日本研修。『日本で何を学ぶか?』ですか?それは、もちろん、こんなにたくさんの皆さんが遠く離れたラオスのプロジェクトを支えてくださっていることを実感することです。運営資金は降ってわいてくるわけではありません。実際に支援してくださっている皆さんと少しでも顔を合わせ、お話をすることは、ラオスと日本の距離を縮めますし、“心”がつながります。9年後にLFHCはラオス政府へ引き渡しが予定されており、このような支援者の皆さんとのつながりは、今から少しずつ積み上げていくものだと思います。その意味をラオス人スタッフが十分理解することが、自立のキーです。

ケオは、以前別のプロジェクトで三重県に7か月滞在したことがあり、日本語もできます。彼女は今回の1週間の日本滞在で「他のラオス人スタッフへも今回の経験を伝えたいと思います」と言っていました。滞在中フル回転で頑張ったケオと、ラオスへ戻って来てから話をしたところ、「疲れました~」って。ふふ。でも、お世話になったホストファミリーの池内さんご夫妻には、とても優しくしてもらい、感激していました。池内さん、突然のお願いにも関わらず、本当にありがとうございました!



東京多摩グリーンロータリークラブ25周年記念式典にて



ホストファミリーの池内ご夫妻と成田空港到着直後



在日ラオス大使館にて


お次は、ノイ看護師とクーリー看護師のアンコール小児病院(AHC)研修です。LFHCの手術室のオープン予定は来年初頭。そこへ照準を合わせた、麻酔専門ナースになるための5か月間の研修です。AHCはご存じの通り、LFHCの姉妹病院となる存在です。LFHCプロジェクトが発表されて以来、AHCスタッフから度々聞かれるのが、「16年かけて修得したものを次は僕たちが教えていく番です」という逞しい言葉。嬉しいですね。惜しみなくシェアしていきたいという姿勢を見るたびについウルウルする私ですが、ホント、大きく成長してくれたものですね。

5か月間の異国での研修はたやすくはないでしょう。でも、これを乗り越えたら大きな自信がつくはずです。私も老婆心+お節介でちょっと様子を見に行こうかなと思っております。また元気な研修姿をご報告できると思います。お楽しみに!





二人とも新たな挑戦に生き生きといいお顔ですね!


今年も恒例、美容師ボランティアの皆さん(ヘアー・デザイナー・ウィズアウト・ア・ボーダー)がお越しくださいました。学校や村へ行き、切りまくりの3日間を過ごしていただきました。たぶん、300人以上の子どもや家族が素敵なヘアーになったはずです。お疲れ様でした!継続することはとても難しいことです。このヘアーボランティアの皆さんが、メンバーを変えながらも15年継続してくださっていることに、感謝感激です。そして恰好いいです!はさみで子どもたちとの距離が一気に縮まるって羨ましいです。

今年は、カットに加えて、シラミ退治も実施。病院スタッフもシラミ隊に加勢し頑張りました。ラオスでは女の子はヘアカットをあまりしないので、シラミが増えまくる。ペット状態ですよ。久々に見た、大量のシラミ!来年もお待ちしております!




今年もやってきた!チャリティーマラソン!!今年は各国から約500名の参加者が集いました。今年はスタート1時間前に強烈なスコールがあり、足元が滑りやすい悪条件でしたが、大きなケガをしたランナーもなく、無事に終了しました。病院スタッフもたくさん参加しましたよ!LFHCリレーチームも結成し、なんと優勝。すごいですね。表彰台に上がった7キロ、14キロ、21キロ、の上位3位の中に4名の日本人が含まれており、自分ではないけど、なんとなく鼻高々。ふふん!という気分でした(笑)。スポーツはチーム力を高めますね。そして、壁がなくなる。みんな、仲間! 来年が今から楽しみです。



スタート地点で、ワイワイガヤガヤです



スミマセン!肖像権の関係上、ヘロヘロな私の写真を



LFHCリレーチーム優勝メンバー!


Buddhist Lent Day という祭日が ラオスにはあります。8月から10月のこの時期まで、僧侶はお寺で修行に励みます。そして、その期間が終了し、お寺では紙で船を作り、メコン川に流しに行きます。ラオス語ではロン・ファー・ファイと言います。お寺の境内には色とりどりのランタンが飾られ、僧侶が火を絶やさないようにしていました。幻想的なランタンの風景の中、お経が響きます。幻想的な中で響くお経の声は、じ~んと胸の中にしみこんできました。

人々は、バナナの葉っぱと花で作った カートゥングというものを作り(購入し)、川へ流しに行きます。ラオス語では、ロイ・カートゥングと言います。邪気を払い福を呼び込めるよう祈り、ご先祖様への供養もするというところを見ると、お盆の意味合いもあるのかと思います。灯篭流しとラオス人のガイドさんも言っていました。

いずれにしても、年間にあるいくつかの節目の日。皆それぞれがそれぞれの思いで、この日を迎えたことと思います。私事ですが、私もカートゥングを持って欲張りなくらいのお願いを込めてメコン川へ流しました。いい年になりますように…。



ドラゴンの船!



お寺の中はランタンで彩られていました。なんとも幻想的



ランタンの火を絶やさずに・・・



私のカートゥング



一隻ずつメコン川へ流されます


今年もあと2か月…なんていう季節になってしまいました。日々が早すぎます。去年の今頃は鍬入れ式や覚え書き調印の準備、スタッフ採用に追われていました。専従スタッフも2人のみで、ビエンチャンへ飛んで政府高官とミーティングをしていたかと思えば、市内を机やテーブルを買いに走り回っていたのが、遥か昔のことのように感じます。来年の今頃は、どんなことを振り返っているのでしょうか。楽しみです。


  フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPAN 副代表
  ラオ・フレンズ小児病院 看護師               赤尾 和美


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