2016年 7月 & 8月

今回のビッグニュースはやはり手術室のオープンです。

手術室のオープンに向けては、救急室の時と同様、様々な方面から準備が進められました。スタッフ教育は一番時間がかかることですので、昨年から準備を開始。前回この紙面でお知らせした、麻酔専門ナース養成のためのアンコール小児病院へのスタッフ派遣はその一環です。院内でも外科医療に関する教育カリキュラムをたくさん組んで、ソフトの充実を図りました。お金がかかる器材の調達は最後になってしまうのが常ですが、少しずつ購入したり、ご寄付でいただいたりしながらハードも固まり、予定より少し遅れてオープンにこぎつけることができました。

ハードの中でも大きかったのが、手術室内の空気をきれいにするHEPAフィルターです。前回は「クラウドファンディングで資金調達を挑戦中!」とお知らせしたのですが、その後たくさんの皆さんにご支援をいただき、目標額を達成して、無事に購入・設置することができました。ご支援いただいた皆さん、本当にありがとうございました!



HEPAフィルター(壁に穴が開いているように見えるのがフィルターです)が設置され、ハウスキーパーさんがオープンへ向けての大掃除をしているところです


オープン間近になると手術室の細かな器材も着々と到着し、荷物が届くたびに「お~!来た!」と歓声が上がるほど。それをきちんと整理して、一つの部屋が少しずつ機能する手術室へ出来上がってくるのを見ているのはワクワクでした。また、手術室オープンには器材や術布を滅菌するための滅菌室も必須です。同時進行で、滅菌室オープンに向けた滅菌器やスタッフが補充されました。



手術室の専門家とラオス人スタッフが器械を丁寧に整理していきました



滅菌室勤務のロウ君。日本語がとても上手なのですよ!



滅菌室にも専門家が短期で来てくれました


ソフトとハードの両面が揃い、いよいよ手術室オープンの日を迎えました! 隣接する県立病院の副院長であり外科医でもあるパノムセイ医師やその他の外科関連の皆さんをご招待して、簡単なオープニングセレモニーを行いました。ラオ・フレンズ小児病院(LFHC)院長のサイモン医師からは、この日に至るまでご協力をいただいたことへの感謝の言葉が述べられ、皆さんを新しい手術室へご案内しました。



スピーチを行うサイモン院長(右)と県立病院副院長・外科のパノムセイ医師(左)



スピーチの後に手術室へご案内中


そして、セレモニーと同日の午後にLFHC初の手術が行われました。1歳半のヘルニアの男の子でした。朝からの禁食は乳児には大変で、スタッフは対応に困っていましたが、実際に始まってから習うこともたくさん出てきますね(笑)。 手術は成功に終わり、私たちスタッフもホッとすることができました。この記念すべき日は、LFHCの病院としてのステップアップと、スタッフの成長を感じる1日となりました。



記念すべき手術第1号。執刀はパノムセイ医師


手術室のオープニングに際し、アンコール小児病院からの大きなヘルプが来ています。しばらくの間、麻酔科ナースが2週間ずつ交代で来てくれることになったのです。写真は、インホー看護師(上)とペンアン看護師(下)。頼もしい限り!






手術を待っている患者さんはたくさんいますが、時には緊急で手術をしなければならないこともあります。下の写真は、顔面への誤射撃による外傷ができた子のレントゲン写真と、摘出された異物です。ラオスでは、食料確保の狩猟のために家庭で作成した銃をよく使っています。それを子どもが遊びに使ってしまい、道端に落ちていたネジのようなものを弾丸代わりにして詰め込み、誤って射撃してしまったということらしいです。本来は銃を保持してはいけないことになっているものの、厳しい取り締まりはされていないのが現状です。また、厳しい取り締まりをされたら栄養が取れない子がさらに増えてしまうだろうな、という危惧もありますよね。

こんなものすごいレントゲン写真ですが、幸いにして命に関わるところへは達しておらず、2週間後には院内の乗り物のおもちゃで遊んだりできるようになり、3週間を待たずに退院していきました。ほんの少しずれていたら命はないです。ホントにラッキーでした。ラオスでは誤射撃による外傷がすでに4~5件入ってきていますが、管理する力をつけてもらわないといけないですね。



搬送されて来てすぐに撮影したレントゲン写真



顔面から摘出したネジのようなもの


ここまで手術室の話題満載で来てしまいましたが、他にもいっぱいいろんなことが起きているのですよ!この2か月で一番嬉しかったのは、ドーケオ医師が小児専門医師研修医として、3年間の研修プログラムに受け入れてもらえることになったこと!彼女はLFHCへ来る前にもアフリカでチャリティに関わったことがあり、FWABが提唱する「心のこもったケア」を地で行く医師です。彼女が3年後に大きく成長して帰って来てくれることが、今から楽しみです!がんばれ~!



院内のクッキングデモンストレーションでお茶目な一面を見せてくれました



スタッフタレントショー・ナイトで帰国する外国人スタッフへ歌をプレゼントするという心遣いのできる人です(女性右)


雨季本番、スーパー仕様の我がLFHC車もこの悪路にはやられちゃいました。まだ患者さんの家へ到着する前に泥沼にはまり込み、往復徒歩4時間近くかかり訪問を済ませ車へ戻るも運悪くスコール。悪路はさらにコンディションが悪くなり、トラクターを手配するためにまた5キロ徒歩。トラクターの馬力で牽引してもらいやっと脱出した・・・と思ったら、その後も3回はまり込み、スーパースタッフのプッシュで切り抜けた!合羽の下はみんな素っ裸。スタッフ全員の命が残ったことに感謝して、記念撮影。実際にこういうところから患者さんは来ているんですよね。医療が遠い・・・。











さて、ラオスのあれこれ情報です。先日、遠方1泊2日の訪問看護へ行ったとき、早々にディナーを終えてそそくさと出かけるドライバーのケン君。「どこ行くの?」と聞くと「カエル!カエル!」って。ニンマリ。明日の朝ごはんらしい。・・・で、翌朝の朝食は、カエルスープ。ケン君が作ってくれたのですが、「味の素は一切使っていないし、塩分を少なくしたので健康に良いです!」ってかなりのどや顔。確かにいいお出汁が出ていました。
ふ~ん・・・いただくけど、ちとかわいそう。



張り切るドライバーのケン君



そのまま・・・ですね(苦笑)



この2か月は手術室オープンに話が集中してしまいましたが、ここには掲載しきれないくらいにたくさんの出来事が日々起きています。多分、毎月100ページを書いても足りないでしょう。患者さん一人一人にストーリーがあるように、病院の1日にもストーリーがあります。一つずつこなして、一つ前進。その積み重ねが10年後につながっていると思うと、なかったことにはできない毎日だなと思います。今日も明日も積み重ねですね。


  フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPAN 代表
  ラオ・フレンズ小児病院 看護師               赤尾 和美


このページの先頭へ