2017年 11月 & 12月

この2か月はインターナショナルな出来事がたくさんありました。ラオ・フレンズ小児病院(LFHC)スタッフが海外へ行くチャンスがあり、海外からもLFHCへ診療や教育のための支援がたくさん来ました。海のないラオスは、国境を越えた交流が取りにくい状況にあります。そんな中LFHCは、ラオス国内でも国際色豊かな場所の1つではないかと思います!また、規模は小さいですが、医療の届かない“地域”への新しい試みも行いましたのでご報告いたします。



学会会場到着!



発表前に少々緊張気味!?



アジアセッションのメンバーで記念撮影


LFHC2年目のヴィライヴォン医師が、愛媛県松山市で開催された第59回 日本小児血液・がん学会学術集会に招聘されました。アジアセッションというカテゴリー内で “貧血” をテーマにしたプレゼンテーションを依頼され、ラオスで散見される遺伝性の血液疾患=サラセミアについて発表しました。 アジアセッションへは他に、インド、ミャンマー、ベトナムからも招聘されており、発表前後には自国の情報交換で盛り上がっていました。

日本では発生率の低いサラセミアについての情報は、日本の先生方にもとても興味深いものだったようです。発表後には質問もたくさんありましたが、わずか2年目の若き医師が経験豊富な教授陣へ堂々と対応していました。その姿は頼もしく、将来がとても楽しみです。

学会での経験もさることながら、日常生活では、ホームステイを受け入れてくださるファミリーがあり、日本の文化を感じ取れるような経験をたくさんさせてくれました。浅草、富士山、着物、そして、何より気に入ったのが、日本のカップラーメンとスナック菓子!ホストファミリーからお土産としていただき、大きな箱2つにたくさん持ち帰ってきました。ふふ。「太ってしまいました・・・」とつぶやいていましたが、食欲は止まらなかったようですね。

ヴィライヴォン医師は、「日本は私の夢の国!」と言っていたほどに来日を楽しみにしていましたので、この視野を広げることができた経験が向上心、モチベーションにつながること間違いなしです。



英語での発表も堂々としています



在日ラオス人のご家族、ホストファミリー、フレンズサポーター、フレンズスタッフとラオス料理のレストランでランチでした。ラオスコネクションが広がりフレンズにとっても良いチャンスでした!


ラオスでは、生まれつき心臓の疾患を持って生まれてきた子供が、早期に正確な診断と適切な治療を受けることはとても稀です。LFHCにも心疾患を持った子供がたくさん来院しますが、専門家がいません。そこにお助けマンとして来てくださったのが、フランスの非営利団体メセナット チルジ カルディアク(MCC)のみなさんでした。

MCCは世界各国で、心疾患の診断と手術が必要な子供をフランスへ搬送し無料で手術を提供する活動をしています。今回LFHCでは、2日間で50人の心疾患を持った子供たちを診察し、そのうち1人は数年内に手術が必要になるだろうと診断されました。フレンズだけで全ての問題を抱えることは到底無理です。こうした他団体との協力によ り、その活動の幅を広げ、より多くの子供たちが恩恵を受けることが出来るようになるといいですね。



超音波で診断中


LFHCには、日々、様々な創傷を持った患者さんが来院し、その保護・手当が必要になります。この部門に来てくださったお助けマンは、タイ赤十字看護大学からの創傷保護専門家です。LFHCで4日間の『創傷ケア』研修が行われ、4人の看護師が参加しました。

創傷と言っても、圧迫によるもの、感染によるもの、熱傷によるもの等とてもたくさんあり、適した消毒や保護をすることで、その回復は顕著に違ってくるのです。研修は講義と実践を併せて組み立てられ、現場に密着したものでした。参加したスタッフは、それぞれに新しいことを学び、即戦力となる研修をとても喜んでいました。また、実際に学んだ方法で傷の保護をした結果、驚くほどの効果を実感し、今回の研修の意義を再認識したようです。参加した4人は、早く他のスタッフへも学んだことを伝えたいと言っていました。

東南アジアの国々がお互いに支え合い協力し合うことは、 世界の平和にもつながるな・・・と思いました。平和と健康、 大事にしたいですね。



中央の眼鏡の女性がタイからのインストラクター。実際の患者さんで実践教育です


さて次は、LFHCが医療の届かない場所へお助けマンとして出向いていくというお話です。その1つが、ごみ処理場に住む子供たちへの健康チェック。以前からごみ処理場に住む(通う?)子供たちの存在は把握していたのですが、政府が管轄している領域になるために勝手に入り込むことができませんでした。適切な形で健康チェックが行われるように正式な手続きで話を進め、やっと実施の実現にこぎつけました。LFHCのアウトリーチチームが主体となり、10人以上のLFHCスタッフが活動に参加。また、ルアンパバーン内の有志がこの活動にかかる費用を 負担して下さり、配給する食事や洋服なども提供してくれました。

ごみ処理場の敷地内にテーブルや椅子を設置し、簡易LFHCクリニックをオープン!初めての試みでしたが17人の子供たちとその家族がクリニックを受診し、栄養失調、毛じらみ、遺伝疾患であるサラセミアの疑いなどが見つかりました。そのうち数人はLFHCで後日フォローアップの必要がありましたが、これも無事に受診を終えました。

ごみ処理場は住環境として、下痢や皮膚疾患につながるリスクが高く、衛生面においてよい状態に保つことが困難です。少しでも罹患リスクを下げられるよう、子供たちに同行した家族への健康教育も行いましたが、一度だけではなかなか慣習を変えることができません。この活動は引き続き数か月に1度ずつ実施を予定していますが、ごみ処理場に住む人々は出入りが激しいため、継続性に影響が出そうな予感がしています。この予感、当たらなければいいな・・・。



分かりにくいですが、小さな黒い点が毛じらみ
一度髪を鋤いただけで櫛目にもいっぱい詰まって取れてきます


5歳の男の子が救急で運ばれてきました。なんと、寝静まった家の中に突如トラックが突っ込んできたのです!頭蓋骨骨折、脳出血、腰と腕には開放した傷が認められ、動くこともできず呼吸困難を呈していました。これほど重症な患者さんに何ができるのかと途方に暮れるほどでしたが、とにかくやれることを全力で行うのみです。しかし、回復の可能性はとても低いだろうと思われました。

ところが!『山を越えた』とはまさにこのことか、と思えるようにある日回復の兆しが見え始め、少しずつ力強さを増し、ついには、支えられながらではあるけれど自分の足で立つまでになりました。そして、投げキスでみんなにサービス!お茶目!この後も順調にリハビリを続け、無事に退院。これは、誰も想像できなかったほどの嬉しい出来事でした。今後も引き続き、LFHCへの通院でフォローアップする予定です。



頭の傷は痛々しいけど・・・、 理学療法士スタッフに支えられ立つ練習ができるようになったことは嬉しい誤算!


ラオスには、お正月が5回(もしくはもっと)あります。1月1日は私たち外国人にとっての一般的なお正月ですが、ラオス新年が4月中旬、春節が2月に加え、少数民族のモン族は12月下旬、カム族は1月中旬です。外国人が新年を祝う1月1日は祭日にはなりますが、それ以外は普通の日曜日のように何気に通り過ぎてしまうので、少々寂しい気もします。民族独特のお正月はとても興味深いですよ。



男女が向き合ってボールを単に投げ合うゲームだけど、みんなウキウキ!



今年のモン新年のトレンドはハイヒール!みんな転びそうな高 いハイヒールを履いていました。どこで買うんだろうな??


訪問看護へ行った村ではちょうど、モン族のお正月でにぎわっていました。若い男女が 民族衣装に身を包み、とってもおしゃれ。モン族のお正月は男女の出会いの場でもあります。男女が知り合うきっかけになるようなゲームが色々とあり、そのコミュニケーションの中でお相手を吟味するのだそうです。なんだか素敵ですね~。



街の洋品店にも厚手のジャケットがいっぱい



我が家もこの毛布の下には更に2枚のお布団!


前回のこの紙面で気温が高いとお伝えしたのですが、その後気温が日本と変わらぬ一桁に下がる日々が続き、息も白くなるほどでした。温かいものが食べたくなるし、暖房の無い家では帰宅後は直ぐにお布団に潜り込む始末。山間部での寒さは半端ではない。健康に影響が出ていなければいいな・・・と祈るばかりです。


  フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPAN 代表
  ラオ・フレンズ小児病院 看護師               赤尾 和美


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